日付が変わった24時。
188.8ヘクタールという広大な敷地内にある街灯は既にすべて消灯し、都会の片隅に巨大なブラックスポットが生まれていた。
月光に浮かび上がる巨大モニュメント。
ここは真夜中のモエレ沼公園。
イサム・ノグチが設計した巨大なオブジェは、寒気で澄み渡った星空のもと、月明かりに照らされることによってより幻想的な姿となっていた。
まるで高度な文明によって作られた、違う星に降り立ったかのような錯覚を引き起こす。
今宵は下弦の月。
白い吐息はいつまでも空を漂い、冷気がじわじわと肌にしみる。
僕は、遠い空を仰ぎ見ているかのようなモアイ像や、メッセージ性を含んだかのように立中するストーンヘンジなどと同様のものを、これらのモニュメントに感じて止まない。単なる一方的なイメージに過ぎないが、「宇宙」を感じてしまうのだ。そしてそれには、月光や星空が最も相応しいのではと常々思っていた。
冒頭に書いた通り、園内の街灯はすべて22時に消灯する。当然駐車場のゲートも施錠されるので、事実上公園は閉鎖かと思われるが、実際は人の出入りは制限されていない(公園管理事務所談)。
但し、懐中電灯等なければ園内を自由に歩きまわることはまず不可能に近い、と言えるほど真っ暗(笑)。
月光を露出した写真だからこそ明るく美しく見えるが、ひとりで歩いていて決して気持ちのいいものではないことは確か。女性は間違ってもひとりでウロチョロしないように。
構図としてシンメトリーは好きじゃない。
でも撮ってしまう、この見事なまでの造形美。
新月の時にでもまた来てみよう。
三日月も絵になりそうだ。
おしまい。